和歌山大学で、展覧会が無事スタートしました。和大、成安の学生、私のかつての教え子など、多くの献身的な協力で、会場の展示作業が終わったのは開会式の1時間前でした。
開会式は、紀州経済史文化史研究所の吉村先生の進行で行われました。東京から、村上安吉の孫、南瑠霞さん、オーストラリアから、曾孫のジュリー・ムラカミさん、村上の研究者でアーティストの金森さんがこの日のために来てくれました。
南ヤス子さんが所蔵する400枚の写真のうち、今回展示したのは約100枚。図録の流れにそった展示で、村上のライフストーリーを時間軸にそって見られるように構成しました。ほとんどが生のプリントという展示です。
写真以外に聞き取り映像(無題)を映写しています。これは、私が今年5月に川崎の高齢者施設にいる村上の三男、喜三郎氏に写真を見てもらいながらインタビューしながら撮影し、今回の展示にあわせて制作、編集したものです。今回のような聞き取りを映像で残していくこと、これは今後も続けていきたいことです。
喜三郎氏との対話はほんとに楽しい。あっというまに時間がすぎます。私のしつこい問いに喜三郎氏はいつも丁寧に答えてくれます。ニューカレドニアでの聞き取りでもそうですが、誰かに何度も会って話を聞いているうちに、相手の経験をまるで自分のもののように感じる錯覚におちいってしまいます。つまり、彼らの生きた時代に自分もその近くに存在していたような感じになってしまうです。
図録に掲載した写真のうち展示できなかった写真は、実は現在行方不明のものです。私が2011年に写真をスキャンした後、南さんに返却したものの、今回の展覧会のために再度お借りしたときには見当たらなかったものです。
おかげさまで、関係機関、NHK和歌山局はじめ、新聞記者の皆様のご協力もあり、翌日も各地から来場者がありました。多くの方に見ていただくことで、写真から読み取れる情報がより豊かになっていきます。すでに、写真に写っている当時の車のこと、アボリジニのこと、日本人病院のこと、いろんなことがわかってきました。皆様のフィードバック(間違いを指摘していただくこともふくめて)をたくさんいただければとてもうれしいです。

開会式で挨拶する南瑠霞さん、ジュリー・ムラカミさん

開会式で挨拶する南瑠霞さん、ジュリー・ムラカミさん