5月20日より、成安造形大学学内にあるコンテンポラリーギャラリーで無事始まりました。今回の会場は小さなものですので、展示できる写真は限られています。内訳は、12枚の日系二世のポートレート、1枚の日系四世のポートレート、他風景など3枚。さらに、当時のモノである、引き揚げトランク、オーストラリアの強制収容での抑留票、収容所で使われていた道具類を展示しています。また、スライドショー『ニューカレドニアの日本人』、今年あらたに編集しなおした映像作品『馬の蹄鉄』をループで映写することで、会場では音楽とフランス語の会話が随時流れている状態です。
日系四世シンシアの親族探しをまとめた展示では、戸籍謄本に関する市町村からの返信ハガキをポートレートと並列しています。展示内容は4年前に最後に展示した時からまったく変わっていないのですが、今は意味が大きくかわりました。シンシアは他界し、彼女の曾祖父の出身地は福島県だからです。詳細はご自身でご覧になっていただくのがいちばんだと思います。少しインタラクティブな、対峙しながら考え、感じていただきたい作品です。自分で鑑賞しながら、社会の変化や時の流れで、作品が放つ意味がこうも変わるのかと驚きました。この展示を見るのが2度目となる、あるギャラリーオーナーは、その変容に涙を浮かべておられました。

予告ですが、6月19日(日)15:15より、ギャラリートーク(津田)、15:30から16:00まで、rimaconaミニコンサート。今回は、私が書いた詞にrimaconaが曲をつけた『Paradis perdu』、『マブイの往来』、新曲『シンシア』、リマコナがニューカレドニア移民の最多数出身地である明治時代の熊本県の子守唄の音源を利用し、着想したオリジナル曲を演奏します。
当日は大学でオープンキャンパスが開催されていますが、どなたでも参加していただけます。スクールバスも運行しておりますので、是非お出かけください。

会期中、残部僅かとなった本展関連カタログ『FEU NOS PERES』も成安ミュージアムショップで販売しています。現在中古市場でしか手に入らないもので、特別に限定10部のみ用意しています。