ニューカレドニアは固有種の動植物が多い島だ。ちょうどオーストラリアやニュージーランドのようなかんじだで、キノコもヴァラエティに富んでいる。
日曜日、友人とヌメアにある4キロメートル市営墓地を探索していた時、いつものように私は古い日本人の墓地の廻りをうろうろしながらメモをとったり、写真を撮っていた。Sさんの墓石に前にくると、友人は「このお墓にはキノコが生えている」と言った。私は驚き、1934年にピストル自殺をしたSさんが眠るお墓に生えたキノコをしみじみと見ていた。
お墓を後にして、今度はヌーヴィルにある米軍のキャンプ跡に移動した。開戦直後、日本の副領事がここに収容されていたと記録にある。残ったセメントの廃屋、見張り台、ヘリポート跡などから、米軍がいたのは確かだ。向こう岸にヌメアの港が見えるので、立地条件もいい。しかし、今やすっかりホームレスに占拠され、外国人がひとりで来るのは控えるべきところだ。
すれ違った女性を見て友人が言った。「彼女の身体にはキノコが生えている」。ここには水も電気もきていないので、不衛生に暮らしているからだろうか。人間の身体もまた細胞だから、そこにきのこが寄生してもおかしくない。
キノコといえばリマコナ(音楽Duo)が、この夏キノコをテーマにしたCDを録音し終えたところだ。写真評論家でキノコマニアの飯沢耕太郎氏とのコラボレーションで2年?くらい前から積極的に活動していて、私も「Champignon de Paris」という曲の作詞で参加している。パリのカタコンブで生育するキノコの話なのだが、カタコンブといえばかつてパリコミューンの地下アジトだったところで、首謀者はその後ニューカレドニアに流刑されている。ということで、キノコの話も最後はニューカレドニアに戻ってしまった。