このサイトを始めるにあたって、まず最初にご紹介したいのが、昨年8月末に出版しました拙著です。
この本は、1905年にニューカレドニアに出稼ぎにいったある沖縄移民のライフストーリーを、日本とニューカレドニアの遺族からの聞き取り、わずかな文献、沖縄で見つかった手紙をベースに、誰にも読みやすく書きあげたものです。数少ないニューカレドニア移民史を扱った読み物として、是非読んでみてください。
おかげさまで、日本経済新聞、毎日新聞、琉球新報、図書新聞でご紹介いただきました。中でも、昨年12月12日の図書新聞に南川文里先生(立命館大学)が書いてくださった書評は、私の意図するところを理解していただけたとても嬉しい内容でした。私の専門は写真を使ってアート作品を制作することですが、この移民史を本格的に調査するようになってからは、どうしてもテキストを書く必要性が出てきました。そのテキストに対応する限られた写真は、主題に合わせて厳密に選び、大きさや順序を考えた上で構成しています。写真(イメージ)は現在社会において、馴染みのあるありふれた、しかしながらとても雄弁なメディアです。特に、三つの異なる言語を使う三か国で活動する私にとって、イメージはなによりもユニバーサルで有意義なコミュニュケーション・ツールなのです。
さて、この本は現在フランス語版が制作準備中です。ニューカレドニアの人がわかりやすいように、もう少し沖縄のことを書き足す予定です。今から現地で日系人の方たちに読んでいただける日が待ち遠しいです。
『マブイの往来〜ニューカレドニア 日本 引き裂かれた家族と戦争の記憶』
津田睦美 文/写真 人文書院 2200円(税別)2009年8月発売
この素敵な帯文を書いてくださったのは、国際日本文化研究センターの細川周平教授です。